法人税の申告書作成の参考手順

法人税

 こんにちは!税理士のきよです。
 今回は前回に引き続き、法人税の申告書の作成の手順について説明します。
 

 人それぞれ、いろいろなやり方があるので、これ以外のやり方もありますが、今回初めて申告書を作成される方の参考になれれば嬉しいです。

 なお、パソコンなどで会計のソフトを利用している3月決算を前提に説明します。

1.基本的な記帳等の流れ

 ➀ 取引発生 ⇒ ➁ 仕訳 ⇒ ③ 総勘定元帳・補助簿 ⇒ ④ 試算表
⇒⑤ 貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書

 という流れのなかで⑤の計算書類が作成されます。⑤は税務署に申告の際に提出する書類となります。
 税務署に法人税の確定申告として提出する書類は、
 イ、別表・計算書類・勘定科目内訳明細書 のセット
 ロ、別表(一)のOCR用紙
 ハ、事業概況説明書
 ニ、適用額明細書 (措置法の規定の適用を受けた場合)
となりますが、イのセットの作成が初心者にとって大変な作業となります。

2.勘定科目内訳明細書の作成

 では、イについて具体的にどのような手順で進めていったらよいでしょう。
 パソコンへの仕訳の入力作業が一通り終わったら、まず勘定科目内訳明細書を作成していきます。
 勘定科目内訳明細書は、①預貯金等の内訳書 ②受取手形の内訳書 ③売掛金の内訳書… ⑯雑収・雑損失の内訳書 で構成されていますが、「当社は手形取引ないよ」「事業所は本店のみで他に支店・営業所などないよ」というように取引のない明細書は作成が不要です。

 勘定科目内訳明細書は、➀預貯金等の内訳書 ②受取手形の内訳書 ③売掛金の内訳書… のように通し番号の小さい順から作成すると効率的です。
 入力が100%正確なら、先ほどの記帳等の流れの③の総勘定元帳・補助簿から転記していけば簡単です。
 しかし、現実には100%正解などはあり得ないので、①取引発生 の書類をもとに正しく入力されているかチェックしながら、間違いがあったら訂正しながらの作業が正しいやり方になります。

 例えば、➀預貯金等の内訳書は、預金通帳・当座勘定照合表・残高証明書のような取引を証明する書類をもとに 金融機関名・種類・口座番号・期末現在高・提要 を記入しその各口座の残高が③の総勘定元帳・補助簿の残高との一致を確認。違っていれば正しく入力をし直し、最終的に貸借対照表の預金勘定残高と一致しているかを確認。

 ➁受取手形の内訳書は、金庫等に保管している受取手形を見て、手形ごとに振出人・振出年月日・支払期日・支払銀行・金額・割引銀行等・摘要を記入し、総勘定元帳・補助簿で正しく処理されているか確認。貸借対照表での残高と一致しているか確認。

 同様に、売掛金以下の明細書を作っていきます。大事なのは、取引の証拠である残高証明書・契約書・請求書・領収書・納品書などの書類をもとに、3月31日現在に会社にあるべき資産・負債が貸借対照表に計上されていることの確認です。

 会社の利益は、損益計算書の収益マイナス費用で計算され、これについてはイメージできると思いますよね。でも会社の利益は、貸借対照表の資産マイナス負債・純資産からももとめられます。なぜなら、複式簿記で処理されているから借方合計の金額と貸方合計合計額が一致しているからです。(←説明は長くなるので別の機会に)

 一通り各勘定科目の内訳書が出来たら、最終的に今一度貸借対照表とチェック。ここまで合わせたら、次は損益計算書のチェックです。

3.別表の作成

 貸借対照表項目は勘定科目内訳明細書の作成で一通りのチェックが終わっているので、次は別表の作成です。具体的な記載方法などは語りつくせない分量になるので、市販の書き方や国税庁のホームページでの別表の書き方の手引書などで対応してください。

 別表は、会計上の利益を加算や減算することにより、税務上の利益に直し、税額等を計算する書類となります。したがって、損益計算書の中身が重要となります。

 そこで別表の作成の前にパソコンで損益計算書の勘定科目が適正に処理されていることを確認してください。人件費に計上すべきものが通信費などになっていたりしないかの確認です。次に別表二の同族会社等の判定に関する明細書、これは株主名簿から簡単に作成できます。

 別表四と別表五(一)をかたわらに置き、勘定科目内訳明細書の作成とは逆に通し番号の大きい順に作成すると効率がいいです。別表十六の減価償却費関係を作成し、別表十五の交際費等、別表十四の寄付金…という順番で作成し、加算項目や減算項目があったらその都度別表四・五(一)に転記していく手順です。

 別表(一)まで出来たら、地方税の申告書を作成し、地方税申告書の内容を別表四・五(一)(二)に反映させて完成です。

 4.まとめ

 別表の四と五(一)は初心者にとって鬼門です。この表や地方税申告書の作成からの流れがどうしてもわからなければ税務署にお尋ねください。法人税の申告は申告納税方式なので最初から最後までの作成は税務署でできません。これは、テストを作成した先生が学生の代わりに回答し採点するみたいなものだからです。でもここまではできたけどこの先がわからないなど部分的なところは教えてくれます。税理士会による無料相談も受けられ、最初から最後までだと有料ですが、部分的なものだと無料でアドバイスもらえます。
他にも無料で受けられるサービスもあるので、要は早め早めに時間に余裕をもって対応してください。

 いろいろ試行錯誤のうえ、頑張ってみてください。

 ではまた。

 


  

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