空き家に係る3,000万円の特別控除

所得税

こんにちは!税理士のきよです。

今日は、最近問い合わせの多い「空き家に係る譲渡所得の3,000万円の特別控除」について、今年の改正点も含め解説します。

近年空き家が増えて社会問題になっています。国土交通省が行った平成25年の住宅の耐震化の進捗状況の推計値によると、空き家のうち約60%が耐震性のない構築物であると推計されます。

空き家は災害が発生した時に救助や復旧の妨げになるし、防犯上等の観点からも発生を抑制する必要があります。そのような理由からこの特別控除制度が生まれました。

1.特別控除を受けられる人

特別控除を受けられる人は、相続または遺贈により、被相続人の居住用家屋及び敷地等を取得した個人である相続人です。

「及び」がポイントで、家屋と敷地等を一緒に相続等することが特例の適用要件となります。

家屋のみ、敷地等のみ、家屋のうち母屋と別棟になっている離れ、倉庫、蔵、車庫等のみを取得した人はこの特例の適用は受けられません。

2.家屋の要件

取得した家屋について以下の全ての要件を満たすもの

1.相続開始直前に被相続人の居住の用に供され、かつ、被相続人以外に居住者がいなかったこと。

要するに、被相続人が亡くなった時に一人暮らしをしていたということ。この部分に一部改正がありました。詳細は後半で。

2.昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること

3.マンション等の区分所有建物でないこと

マンション等は、特例の対象外となります。

3.譲渡の要件

1.相続時から譲渡時まで引き続き空き家でなければなりません

その間に居住、貸付、事業の用等に供した場合には適用を受けられません。

2.譲渡先(買い主)が親子や夫婦などの特別の関係がある人でないこと

特別な関係には、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人等が含まれます。要するに身内に売った場合は適用なしということです。

3.相続日から起算して3年目の年の12月31日までに譲渡すること

4.譲渡価額の合計額が1憶円を超えないこと

複数回にわたり分割で譲渡したり、共有者がいる場合は、その合計額で判定することになるのでご注意を!!

4.譲渡形態による要件

譲渡には、家屋のみ、家屋と敷地、敷地のみの3つのパターンがありますが、それぞれ以下の要件を満たす必要があります。

1.家屋のみの譲渡

家屋は、譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定または基準に適合(耐震基準を満たす建物)していなければなりません。耐震基準を満たしていなければ、耐震リフォームして耐震基準を満たす必要があります。

2.家屋と敷地を譲渡

家屋と敷地を一緒に譲渡する場合は、家屋が上記1.の場合と同様に耐震基準を満たしている必要があります。

3.敷地のみの譲渡

敷地の上にあった家屋を取り壊して更地の状態で売却した場合は、

取り壊しから譲渡の時点まで、建物または構築物の敷地の用に供されていないことが要件となります。

5.添付書類

この特例を受けるためには所得税の確定申告が必要になりますが、以下の書類等が必要となります。

1.市町村長の発行する「被相続人居住用家屋等確認書」

被相続人が亡くなるまで一人暮らしで、相続の時から売却の時まで居住の用等で使用されていないことの証明書です。

2.売買契約書

譲渡代金が1憶円を超えていないことの証明

3.登記事項証明書

建築時期の確認、相続等により取得したことの確認

4.耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書

家屋の譲渡がある場合、譲渡した家屋が耐震要件を満たしていることを確認するため

5.譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]

所得税の確定申告書に添付するものです。

「被相続人の居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例チェックシート・措法35条3項」というチェックシートの提出も求められています。

6.改正点

本年度に2点が改正されました。まず、相続人が相続開始直前まで被相続人の居住の用に供されているの要件に、老人ホーム等に入所していた場合も含まれることになりました。

一人暮らししている家屋が対象なのだから、高齢で自分の身の回りも自分一人では十分にできなくなり、やむなく老人ホームなどの施設に入らないと生活に支障ある場合などは、亡くなる直前まで自宅に住んでいることまで求めては厳しいですよね。

もう一つは、この特例の適用期限が、当初平成31年12月31日までだったのですが、4年延長され令和5年12月31日まで延長されました。

7.あとがき

横浜Fマリノスがまた勝ってしまいました。暫定2位です。

どこまで粘れるの楽しみです。⚽

ではまた!!

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