会社を設立するときの5つのポイント

法人設立

 こんにちは。税理士のきよです。

 今日は、会社を設立するときに注意していただきたいことなどにつき、5つの項目にまとめ説明したいと思います。

会社の形態について

 事業を始める場合、その事業を個人事業と行うのか、会社として行うのかを選択しなければなりません。一般に個人事業よりも会社の方が社会的信用度が高く、商売がしやく、資金・労働者を集めやすいというメリットがあります。

 一方、会社にすると面倒な設立手続きをしなければならないし、原則として社会保険に加入しなければならないし、複式簿記による会計帳簿を整備しなければならないし、赤字でも法人住民税を納付しなければならなくなるというデメリットが生じます。

 両方のメリット・デメリットをよく比較検討して判断してください。とりあえず個人事業で商売やってみて、商売が軌道に乗り、大きな利益が発生する常態になると、節税対策も含めたところで法人化するパターンが多いです。

 会社には、株式会社合同会社合資会社合名会社の4つの形態があります。合資会社・合名会社は無限責任が伴いますので、特別な事情がない限り選択肢としてあり得ないので、ここでは株式会社・合同会社の違いについて説明します。

 無限責任とは、事業で負債が生じた場合、会社で負担できない部分は個人財産で負担しなければならないというもので、これは個人事業についても同様です。無限責任の逆を有限責任といい、会社に出資した金額だけで責任を負えばよく、会社で負担できない部分があっても個人財産にまで及ばないというものです。

 株式会社・合同会社への出資者は有限責任義務を負うだけなので、万一商売がうまくいかなく会社が負債を抱えても出資者に出資した金額以上の負担が生じないというのも会社にするメリットとも言えます。(はじめから、会社の倒産を前提に会社作る人はいないだろうし、倒産前提で会社を作り故意に負債の踏み倒したら詐欺なので有限責任となりません。)

 株式会社も合同会社も責任者が1人以上いればよいというのが共通してます。株式会社の場合は、会社の定款を作成し認証を受け登記するのに対し、合同会社の場合は登記だけで済むので手続き的には合同会社の方が楽です。

 登記費用も登記する際の登録免許税も株式会社の場合は、15万円または資本金の0.7%に対し、合同会社の場合は、6万円または資本金の0.7%であるので合同会社の方が安くて済みます。定款の認証費用も株式会社の場合9万円強かかるのに対し、合同会社の場合は公証人による会社定款の認証が不要なので、認証費用も合同会社の方がお得です。

 設立費用だけを考えれば、合同会社が良いといえます。ただみなさんに問います。株式会社はよく耳にするけど、合同会社はそうでもないですよね。社会的認知度は圧倒的に株式会社の方が高いです。会社の社会的信用度って冒頭の方で言いましたよね。今現在は信用度は株式会社に軍配が上がると思います。

 みなさん想像してみてください。会社を作って、営業とかで商売相手に名刺渡したとき、合同会社ってなに?から挨拶が始まると思いますよ。事業開始直後はなるべく費用は避けた方がいいけど、単に費用面だけで判断することなく、じっくり考えてから会社を作りましょう。

資本金について

 資本金とは、商売を開始する際の元手金で、言わば軍資金みたいなものです。

 以前は、設立時において有限会社(現存する会社はありますが、新たに有限会社として設立することはできません)は300万円、株式会社は1千万円以上が資本金として必要でしたが、現在は1円以上であれば会社を設立することはできます。

 また、以前は登記に際し、金融機関の保管証明書が必要とか結構面倒くさかったのに対し、現行は発起設立の場合は通帳のコピー位で済むので楽になりました。

 発起設立とは、会社を作り商売始めようとする人(発起人)が一人で資本金の100%を払い込んで会社をつくる方法で、このパターンが多いです。発起設立に対し募集設立という方法があります。以前は、取締役が3人以上いなければならないというルールがあって、お父さんが会社を作る時、奥さんと子供あるいは両親・兄弟を取締役にし、それぞれの取締役に出資の一部を負担(形だけでも)してもらってました。つまり発起人以外に他の出資者が存在するのが募集設立になります。大きな会社同士が資本提携するのにお互い出資しあって子会社作るような場合をいい、私に限って言えば最近は募集設立で会社起こした経験がありません。

 なお募集設立の場合は、金融機関の保管証明書が登記の際に必要ですのでご注意ください。

 資本金は1円以上でOKですが、現実問題として1円だと商売開始してから不都合が生じると思います。金融機関から融資を受けようとしても、融資のハードルが高くなります。

 お金貸す側で考えると1円しか元手出してない人(1円しか自己負担してない人)に対し百万、2百万円のお金貸します? 銀行の方に伺ったことがありますが、資本金と同額位が融資のひとつの目安だそうです。

 また、資本金百万円でスタートした会社が、新たに取引を開始しようとする相手方に資本金を3百万円に増資してくれないと契約できないと言われ、3百万円に増資した会社もありました。

 さりとて多ければいいってもんでもありません。1千万円以上の資本金で会社起こすと設立事業年度から消費税の納税義務が生じたり、法人税法上の中小企業に対する優遇措置に制限がかかったり、法人住民税の均等割りの金額が高くなる可能性があります。

 業種にもよりますが、開業資金(店舗・テナント・事務所・工場等の賃貸に要する費用、設備投資、人材確保にかかる費用等)と当面の運転資金(仕入れ・外注・人件費等)の合計額を多少上回る金額、3百万円から5百万円位がひとつの目安ではと思います。 (そんな金額用意できないよ~(汗)って人はまた何らかの方法考えなければなりませんが…)

 資本金をいくらにするかも後々のこと想定しじっくり考えてください。

登記について

 登記とは、会社の設立を申請する手続きで、申請先は法務局になります。申請が認められれば法人として登録され、だれでも閲覧が可能になります。言わば、会社が存在していることの証明みたいなもので、個人でいえば戸籍簿みたいなイメージです。

 登記するには、まず会社の定款が必要となります。定款とは、会社の基本的なルールをまとめた書類をいいます。その定款には、以下の事項が記載されます。

  • 商号…会社名です。
  • 事業の目的…会社の事業目的で、例えば、飲食業を営みますとか、理容業を営みますとかです。
  • 本店所在地
  • 発起人の氏名・住所
  • 発行可能株式総数と設立時に出資する額…例えば1万株が発行可能株式総数で、うち1千株分を1百万円で発行し、設立時の資本金にしますとかです。(実際には株式の発行をするケースはまれですが)

 上記の事項は、必ず記載しなければならない事項ですが、その他に株式の譲渡制限に関する事項・役員の任期についての規定(必要があれば記載する)・事業年度・公示方法(記載するかどうかは任意)などを記載することになります。

 書式については、下記の日本公証人連合会のホームページでダウンロードできます。

http://www.koshonin.gr.jp/ 

 定款には、個人の実印印鑑証明書が必要となるので、事前に用意しておきましょう。

 商号は会社の顔になので慎重に決めましょう。基本的に商号は自由に決めていいのですが、使用ができない記号や「○○銀行」のように他の法律により使用が制限されているものがありますからご注意ください。

 また、類似商号にもご注意を。類似商号とは、文字通り似ている社名です。以前は、同一市町村で事業内容ば同じだと、法務局の方で類似商号ということで登記申請が却下されました。現在は、同じ住所に同じ社名の他の会社があったり、不正競争防止法違反の可能性のある社名以外であれば、原則的に登記は受け付けてくれます。

 ただし、近隣地区で同じような社名で同じような事業を行っている会社があった場合、うちの商売を邪魔された!!などの法的トラブルに巻き込まれる可能性もあるのでしっかり調べましょう。

 定款を作成したら、合同会社なら法務局に登記申請、株式会社なら公証人役場で公証人による定款の認証を受けた後、法務局に登記申請という流れになります。

 公証人役場については、本店所在地として横浜市を想定しているのであればインターネットで「横浜市 公証人役場」で検索し、そのサイトの役場に電話し、役場に伺う日時を調整します。完全予約制です。一方、法務局は「横浜市 法務局」で検索し、場所と開庁時間を確認すれば、開庁時間であればいつでも受け付けてくれますので、予約は不要です。

 登記関係は、面倒くさいです。司法書士の先生に依頼すると15万円前後(業種や規模等により異なりますが)で代行してくれます。面倒だし難しそうだから司法書士に報酬支払って頼んでしまうか、お金かかるなら自分でやる!はご自身で判断してください。

開業資金について

 事業を始めるといろいろとお金がかかります。登記費用や店舗・事務所等の保証金、設備投投資、人材確保や広告宣伝のための費用…。逆に売上等により入ってくるお金は少しずつ増えていく形ですから、開業当初はマイナス要因の方が強いです。

 事業が軌道に乗り資金的にプラスになるまでに時間がかかりますから、その間自前の資金でやり繰りしなければなりません。十分な資金をお持ちなら問題ありませんが、ふつうは金融機関等から運転資金の借り入れで賄うことになります。

 金融機関といっても、普通の銀行に相談に行っても結構融資のハードルが高いのが実情です。まずは日本政策金融公庫に相談してみてください。日本政策金融公庫は国の政府機関なので、民間の銀行に比べればハードルが低くいし、金利も低いです。

 金融機関からの借り入れができなければ、身内・知人からとなりますが、後々トラブルのもとになりますからできれば避けた方がいいです。どうしてもの時には「金銭消費貸借契約書」や「借用書」の書面を作成して、約束通りに借りたお金を返済してください。返済期日の定めのない契約、いわゆる出世払いなどは、贈与となり贈与税の対象になりますからご注意を。

 お金を借りるということに抵抗を感じる人もいるでしょうが、運転資金の計画を立て、借り入れが必要と判断されたなら、早めに行動してください。開業当初が一番借りやすいです。事業が始まってからだと、申告書もってきて・決算書もってきて・試算表もってきてなどと会社の経営状況で判断されます。事業が思惑通りに儲かっていなくて、経営状況が悪くなってから融資を受けに行っても融資には応じてくれません。当たり前といえば当たり前ですよね。

 手元資金を充分にしておき、資金繰りにかける時間と労力をかけることなく、商売に専念した方がよろしいと思います。手元資金が十分だからといっても、無駄遣いは本末転倒ですから、十分に気を付けましょう。

届出関係について

 法人を設立すると以下の情勢機関にそれぞれの届出書を提出しなければなりません。

 税務署…法人設立届出書・青色申告の承認申請書・給与支払事務所等の開設届出書等

 都道府県・市町村…法人設立届出書

 社会保険事務所…新規適用届・被保険者資格取得届・健康保険被扶養者届等

 労働基準監督署…労働保険関係成立届・労働保険概算保険料申告書

 ハローワーク…雇用保険適用事業所設置届・雇用保険被保険者資格取得届

 ちなみに横浜市の場合は、法人設立届出書は国に提出するもの、神奈川県に提出するもの、横浜市に提出するものを一括して税務署で受領してくれます。

あとがき

法人の開業となるといろいろ面倒な手続きがたくさんあります。

事前に調べて対処できるようにしておきましょう。

では、また!!

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