こんにちは!税理士のきよです。
今日は、前回に引き続き減価償却についてです。
減価償却資産の取得価額は、減価償却という手続きで使用可能期間に費用配分することになることは前回説明しました。この使用可能期間についても会計の世界では、法人の業種や規模等に応じ適切な期間に応じて配分することとしている。
しかし、税の世界では、法人の恣意的な決定を防止し、課税の公平を図るとの観点から「減価償却資産の耐用年数に関する省令」において別表第一から別表第六までに資産の種類・構造・用途の異なるごとに細かく規定している。ここで定められた年数を「法定耐用年数」とよんでいます。
「減価償却資産の耐用年数に関する省令」
http://www.web-seibunsha.jp/tebiki/pdf/9/pdf_mask/huroku.pdf
一般的な減価償却資産として
(1)別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産
(2)別表第ニ 機械及び装置の耐用年数表
(3)別表第三 無形減価償却資産の耐用年数表
(4)別表第四 生物の耐用年数表
特殊な減価償却資産として
(5)別表第五 公害防止用減価償却資産の耐用年数表
(6)別表第六 開発研究用減価償却資産の耐用年数表
が掲げられています。原則としてこれらの表で定められている年数に応じた償却率で減価償却を行うこととなりますが、次のような特例的なルールもあります。
(1) 旧定額法・定額法・定率法
旧定額法・定額法・定率法の償却率 × その事業年度 / 12
(2) 旧定率法
次の算式によって計算した年数(A)に対応する旧定率法の償却率
A = その資産の耐用年数 × 12 / その事業年度の月数
旧定額法・定額法・定率法は償却率を改訂し、旧定率法は耐用年数を改訂してくださいということです。なお小数点3位未満の端数は切り上げます。
通常の計算で計算した限度額 × 事情の用に供した日から期末までの月数 / その事業年度の月数 ※月数は、暦によって計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とします。
法定耐用年数 - 経過年数 × 0.8 1年未満の端数は切捨て
平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産で、前事業年度までにした償却額の累積額が取得価額の95%相当額(従前の償却可能限度額)に達しているものについては、その達した事業年度の翌事業年度以後の各事業年度(平成19年4月1日以後に開始する事業年度に限ります。)の償却限度額は次の算式により計算します。
(取得価額 - 取得価額の95% - 1円) × その事業年度の月数 / 60
減価償却資産の種類に応じて選定できる減価償却の方法が定められています。
(1)建物・建物附属設備・構築物 定額法
(2)上記以外の有形固定資産 定額法・定率法・生産高比例法他
(3)無形固定資産及び生物 定額法
一定の期限までに償却方法の選定がない場合は、(1)(3)は定額法、(2)は定率法となり、これを法定償却方法といいます。(1)は平成28年3月31日以前に取得した場合は定率法又は定額法のいずれも選択することができました。平成28年4月1日以後は定額法のみの適用となります。
償却方法を変更する場合は、新たな償却方法を採用とする事業年度の開始の日の前日までに申請書を税務署長に提出しその承認を受けなければなりません。
原則的な償却方法は下記の方法があり、それぞれの算式で求めた金額が償却限度額となります。なお備忘価額として1円は必ず残しておかなければなりません。
(1)定額法 取得価額 × 耐用年数に応じた定額法の償却率
(2)定率法 調整前償却額 = (取得価額 - 既償却額)× 耐用年数に応じた定率法の償却率
(3)生産高比例法 取得価額 × 採掘数量 / 耐用年数と採掘予定年数のうち短い方の期間内の採掘予定数量 × 採掘数量
(4)リース期間定額法 取得価額 - 残価保証額 / リース期間の月数 × その事業年度におけるリース期間の月数
※定率法は原則として平成24年3月31日以前に取得した場合は250%定率法、平成24年4月1日以後に取得した場合は200%定率法によります。なお、調整前償却額が償却保証額(取得価額 × 保証率(耐用年数省令別表第九、十参照)を下回ることとなった場合には、耐用年数経過時に備忘価額1円を残して全額償却できるように、次の算式で償却額を計算します。
改訂取得価額(償却保証額に満たないこととなった最初の事業年度の期首未償却残高)× 耐用年数に応じた定率法の改訂償却率(耐用年数省令別表第九、十参照)
(1)旧定額法 (取得価額-残存価額)× 耐用年数に応じた旧定額法の償却率
(2)旧定率法 (取得価額-既償却額)× 耐用年数に応じた旧定率法の償却率
(3)旧生産高比例法 取得価額 - 残存価額 / 耐用年数と採掘予定年数のうち短い方の期間内の採掘予定数量 × 採掘数量
上記の他、税務署長の承認を受けることにより、特別な償却方法を選定することができます。
土地や美術品等のうち歴史的価値又は希少価値があり代替性のないものなどは減価償却できません。また減価償却はその減価償却資産を事業の用に供した時から計算するので、事業の用に供していないものは減価償却できません。
以上までが減価償却に関する原則的な取扱いです。
実務的には修繕があった時に「修繕費」「資本的支出」の区分の問題があります。
次回は修繕があった場合の取り扱いについて解説したいと思います。
ではまた!!