Categories: 法人税税務

お金を使わない節税方法

こんにちは! 税理士のきよです。

今日は、棚卸資産・減価償却資産についての説明の流れで、これらを用いたお金を使わない節税方法について解説します。

1.棚卸資産を使った節税

棚卸資産については、売上原価が損金に算入されます。売上原価は、

売上原価=期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高 

の算式で計算されます。

売上原価が大きいほど経費が多くなり、結果として課税所得が少なくなります。

上の算式から期末棚卸高の金額が小さいほど売上原価が多くなることがわかります。

ここに小売業を営むX社があるとします。期末に商品の棚卸しをして在庫表を作成しました。

×1年数量単価金額
A1010,000 100,000
B 20 5,000 100,000
C50 5,000 250,000
D1010,000 100,000
E20 1,000 20,000
合計 570,000
×2年数量単価金額
A10,000 50,000
F1020,000 200,000
G10 3,000 30,000
H30 2,000 60,000
I1010,000 100,000
合計 440,000

×1年は、570,000円が、×2年は、440,0000円が期末棚卸高として計上されます。A商品に注目です。

A商品は×1年に購入しただけで×2年での購入はありません。この場合×1年での単価10,000円で大丈夫?

商品にもよりますが、1年間売れ残っているのだから値段が下がっている可能性があります。

  • いわゆる季節商品で売れ残ったもので、今後通常の価額での販売ができないことが実績等から明らかなもの
  • 型式、性能・品質等が著しく異なる新製品が販売されたことにより、今後通常の方法により販売できないこと
  • 破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等で商品価値が低くなったもの

などの場合は評価損の計上を認めています。(法人税法基本通達9-1-4~5)

逆に、物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情だけでは評価損の計上を認めていません。(法人税法基本通達9-1-6)

A商品の期末単価をいくらにするか。この場合の単価は期末時における時価、正味売却価額によるものとされています。

正味売却価額=売価-(見積追加製造原価+見積販売直接経費)で計算するのですが、正直よくわかんないですよね。

正味売却価額として販売実績に基ずく価額、契約により取り決められた一定の売価などによることもできます。

当初A商品は、10,000円で仕入れ、12,000円で売るつもりでした。×1年は思惑通りに売れましたが、×2年は4,000円でしか売れませんでした。したがって販売実績から4,000円を単価としました。合理性がありますよね。

×3期に12,000円で売っていたら論外ですが、本当に×2期目通りの実績なら3,000円、2,0000円…というように値段下がっているはずですから。

期首から繰り越されている棚卸資産については、単純に前期の在庫表から単価を引っ張ってくるのではなく品々ごとに時価を吟味してみてください。もし評価損を計上できる棚卸資産があれば、その理由を説明できるよう文書を作成しておいてください。

これこそお金を使わずに済む節税になります。

在庫表を作ったら500,000円ありました。今期税金が発生するから在庫表を書き換えて300,000円にしておいて、200,000円の評価損を計上しよう! なんて乱暴なこと絶対しないように!! 記録を改ざんすると、故意に税金を少なくした申告をしたということで、重加算税が課されます。

2.減価償却資産を使った節税

減価償却資産については全額を損金にできる少額資産の購入、修繕、除却が考えられます。しかし、購入、修繕はお金がかかるし、除却にしても場合によってはお金がかかってしまいます。

特に機械装置などは解体処分から廃棄処分まで手間とお金がかかるので躊躇してしまいます。そんなとき「有姿除却」という方法があります。

1.有姿除却とは

  • その使用を廃止し、今後も通常の方法で事業の用に供することがないと認められるもの
  • 将来使用される可能性がほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの

については、解徹、破砕、廃棄等をしていなくても、その資産の帳簿価額から処分見込価額を控除した金額を除却損としてもいいですよというルールがあります。(法人税法基本通達7-7-2)

もう使ってない資産であれば、まだ廃棄とかしてないから現物はあるけど除却損の計上を認めるということです。

壊れてしまって完全に動かないなら問題ないのですが、使ってないし将来も使わないことが前提なので使っていたらダメですよ。

何十年前か忘れたけど、全国紙を発行しているある新聞社が有姿除却した資産について、税務調査で「使っているじゃん!」ということで否認されたことがありました。

2.固定資産台帳の確認

たまに見かける案件です。新たに購入した資産は固定資産台帳に正しく記載されていますが、その購入に伴って処分した資産がまだ固定資産台帳に残っているというパターンです。

例えば、応接室用に新しいテレビを購入し、今まで使っていたテレビを引き取ってもらったのに除却処理していないので、台帳にテレビが2台分残っているみたいな。

運送業のように運搬車を多く抱えている会社は、車種・ナンバープレートごとに記録していないと台帳の車両と実物が一致しないことになります。

固定資産台帳に存在しない資産などが載ってませんか?今一度チェックしましょう。

3.まとめ

お金のかからない節税方法として3つの方法を説明しました。

節税したいなら手間暇かけないといけませんね。節税も大事だけれど、それ以上に棚卸表や固定資産台帳をしっかり管理することにより、事業に有効に活用されていない資産が存在していないか確認することがもっと大事なことであると思います。

無駄な棚卸資産はひも付きで販売する、サービス品あるいは広告の用に供する、思い切って処分する…まともに売れない棚卸資産は保管や保有しているだけでコストが生じています。減価償却資産も同様に使ってもいないものなどは邪魔で会社の効率性を阻害しているかもしれません。

会社の経営をよりよく改善するためには細かいところにも細心の注意を。

4.編集後記

ブログいじっていたら、ぐちゃぐちゃになり更新が遅くなってしまった!!

10日に協同組合主催による東京地方税理士会のボーリング大会がありました。

私が属する神奈川支部が見事に団体優勝できて、ちょっと浮かれてます。

ちなみに私自身はあまり貢献できませんでした…(反省)

来年頑張ります!!

きよ

 横浜市を中心とした地域密着型の税理士事務所です。  法人設立、資金繰り、節税対策をど、主に法人の税務会計や経営のサポートを応援させていただいてます。  相互信頼のもと、クライアントが気軽に相談することができ、事務所は率直に意見を言うことができる、お互いが共存共栄できることを望んでいらっしゃる方を大歓迎します。    

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